空き瓶ロマンス



その新入りさんは、化粧が濃いめでふわふわパーマの可愛らしい人だった。


だけど、問題はそのふわふわパーマの一部を、括らずに胸まで垂らしていた事だった。


名札が見えないどころか、仮にも結婚式場は飲食物を扱う場所だ。


もし社員さんに見付かって大目玉を喰らっては彼女が可哀想だと思い、


私は大急ぎで彼女に正直にそう言った。
 


すると、その新入りさんは驚いた様子だったものの、


すぐに笑顔で「ありがとうね」と言って、髪を結び直しにバックヤードに引っ込んだ。
 


――しかし、これで終わりではなかった。


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