夢の彼方
「大丈夫。ルークの人を見る目は確かだよ」


「え―――」


「あんたのブログを見た時から―――ルークの頭にはあんたがスターダムにのし上がる光景が出来上がってた。だからこそ

、あんたを繋ぎ止めておくならどんなことでもするんだ」


「でも―――わたし、まだ演技どころか言葉だって―――」


「だから、それはこれから急いで身につけてもらう。少なくとも、日常会話くらいは問題なくこなせるようにならないと」


ごくりと、唾を飲み込む。


「―――そんなことより、今日が何の日か覚えてる?」


レジーの言葉に、わたしは目を瞬かせた。


「え?」


「あのドラマの、放映日だよ」


そうだ。


今日はわたしが初めて出演したあのドラマの放映日なんだ。


夜8時。


大画面テレビに映し出される映像を、じっと見つめる。


ドキドキして、体が震えるのを止められない。


本当にこのドラマにわたしが出てるのだろうか?


日本でもずっと見ていた。


医療ドラマだけれど、人間模様がとても丁寧に、それでいて優しく描かれていてユーモアもあり、大好きなドラマの1つだ




まさかそれに自分が出ることになるなんて、思いもしなかったけれど―――。
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