夢の彼方
「すごいね、ママ。本当にこの病院に来た患者さんに見えるよ」


感心したように言う里菜に、わたしは戸惑う。


「そうかな?すごいへたくそじゃない?」


「そんなことないと思うけど。戸惑ってる日本人って感じがすごい良くわかるもん。ねえ、こないだ撮ってたのは?あたし

たちも出てるやつ」


「あれは来週だって」


「そうなんだー、楽しみだね!」


うきうきと楽しそうな子供たち。


わたしはまだ心臓がドキドキしていたけれど。


何となくそれらしく見えたみたいで、ちょっとは安心することができた。


来週はもっと出番もセリフも多い。


今日以上にドキドキしながら見ることになるんだろうなあ。


なんだか自分のことなのに、人事みたいだった。


自分の姿をテレビで見ることなんてないから・・・・・
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