禁断の恋

「遊お兄ちゃんは何で病院にいるのぉ??」

「腕をケガしちゃってさぁ」

「まだ痛い??」

「いや、全然平気」

「芹那のママね、病気なんだって。頭の中に悪い塊があるんだって。」


脳腫瘍のことか??


「それでね、ママ最近変なこと言うんだよぉ」

「どんなこと??」

「ご飯食べたっけぇ?とかぁ」


記憶が消えていくのか・・・??


『こら、芹那。お兄ちゃんにそんなこと言ったら駄目よ?困ってるじゃない』

「ごめんなさ~い」

「そーだ」


亜美から貰った煮物がまだあったはず。


「よかったらこれ。食べますか?」


芹那の母親に差し出す。


『まぁ美味しそう。』


優しく微笑み、にんじんをつまむと

口に運んだ。


『・・・!!・・・美味しい・・・』


ポロポロと涙を零した。


『この味もいつかは忘れてしまうのかしら・・・』


言葉が詰まった。


「食いたいときいつでも言ってくださいよ、俺の友達が作ったもんなんで」

『ほんとに?』

「もちろんです」


芹那の母親はニッコリと微笑み


『遊君はきっといい家族を、家庭を築けるわ。優しいもの』









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