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『あ!楓に見てもらいたい部分あるんだけどいい?』
両手を合わせてお願いすると、たこ焼きを食べ終わった楓は、お皿とたこ焼き器を台所の流しに持って行った。
「何?宿題?」
洗いながら聞いてくる楓。
『ううん。自主でしてたんだけど、数学の問題で詰まってさ、だから答えが気になるんだよね』
「いいよ。教科書持ってきなよ」
洗い物をしてくれた楓は、濡れた手をお手拭きタオルで拭いてソファーに座った。
『ありがとう!ちょっと待ってて!』
自分の寝室に戻って、片付けたばっかりの数学の教科書を鞄から取り出した。
それと重なって鞄から出て来た一枚の紙。
二つ折りされている紙を開いて見ると、
゛お前なんかいなくなれ゛
太いマジックかなんかで殴り書きされている文字。
その言葉から相手の恨みが伝わってきた。
「結衣?まだ?」
『今行く!』
リビングから聞こえた楓の声に返事をして、手に持っていたその紙を再び鞄に入れた。
前からこんな事はたまにある事だった。
犯人も楓と灰希のファンの仕業なんて分かってはいたけど、二人に迷惑かけたくなくって、嫌がらせされても黙っていた。
だから、また軽い程度の嫌がらせって思っていた。