幼なじみは俺様王子。




「……きっかけは、あの日だったの」


――――――……………



あたしは授業のプリントを貰いに先生のいる職員室へ来た。


クラス全員分のプリントを持って教室へ向かう途中……


「み、なと……だめっ」


女の人のなんともエロチックな声が保健室から聞こえてきた。


本当はイケないって分かっていたけれど、あたしは興味本位で扉を開けてしまった。

するとそこには、カーテンも閉めずに堂々とキスしている男女2名。


こちら側に顔を向けているのは美人と有名は3年生の先輩。


そして、男は……



「先輩、声出したらバレますよ?」


同じクラスの瀬川湊斗だった。


後ろ姿だけでわかる、派手な金色の髪。


あたしの存在に気づかず激しいキスを続けるふたり。

あたしはその姿を呆然と見つめていた。



――これが出会いの始まり。


――バサバサッ


なぜかあたしは手をすべらせて40枚近くあるプリントを全て床に落としてしまった。


や、やっちゃった……。


気づかれるのはもちろん当然のことで。


ふたりの視線が一気にあたしに注がれる。


あたしの頭は真っ白だった。





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