君の詩が色褪せても
「何しに来た?」
「ちょっとソコまで来てたから寄り道」
ソファーに寝転がる日和。
「愛里子ちゃんは?」
「…また、その質問かよ」
「はっ?」
「さっき弥生さんから同じ質問された…。オレが愛里子と一緒じゃないと変なのかぁ〜」
クッションに顔を埋めてじたばたする日和。
「…弥生さんと居たの?」
「ちょっと忘れ物届けにね」
「へぇ…」
座り慣れたピアノの椅子に座る律壱。
「お前だって昨日弥生さんと居ただろ…」
「それは…仕事の話があったから」
「嘘くせー。彼女に惚れたんだろ?」
「ちげーよ!!」
大声を出して立ち上がる律壱。
その表情は険しかった。
「冗談だよ…。律壱のタイプじゃないもんな」
日和は少し驚きながら顔を上げた。
「ごめん…。今朝…元カノの夢みたから…」
また、ゆっくり座り直す律壱。
「そっか…」
「あっ…あの運命ソング、提出しといたから」
「早いな…」
「日和が長引かせてたんだろ」
「だな」
ペコリと頭を下げる日和。
「弥生さんの映画主題歌も取り掛からないといけないしな。休んでられないよ」