君の詩が色褪せても
「あぁ、そうしてくれると助かるよ。愛里子は弥生さんのことお母さんみたいって言うくらいだもんな」
「仕事あるから夜になるけど平気?」
「いつでもいいよ。待ってる」
弥生の胸に小さく痛みが走る。
"待ってる…"
「わかった…」
また日和からゆっくりと顔を背ける弥生。
「じゃ、オレ行くから」
日和は弥生の様子を気にすることなく去っていった。
私は…―
いつも自分を恥じている―
こんな風に…
ただ、ときめいただけでも…―
変わりたいと思ってるのは自分自身なのに…―
自信がない…―
勇気がない…―
言い訳ばかり上手くなる…―
「可愛くない…」
持っていたメガネに涙がポタっと落ちた。
潮風が優しく弥生の身体を抱き締める。
「こんなんじゃ、ダメだよね…」
ピンポーン…
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「…っるせーぞ」
目を細めた律壱がドアを開けた。
「お前、最近言葉遣い悪くなったな」
玄関をひょいとすり抜けながら日和が言った。