君の詩が色褪せても
「あぁ〜、このガセネタ多い出版社ね」
日和はスポーツ紙を手に取り読み出す。
「で……、何でお前がここにいる?」
律壱がスポーツ紙を奪い取った。
「だってよ〜…ここ居心地いいんだもん」
ソファーに寝転がる日和。
そこは律壱の部屋だった。
「どーせ事務所設立すんだろ?オレもいれろよ」
「なんでだよ」
「マブダチだろ!」
こいつ…
何も解ってねー…ー
「オレ、個人事務所とか面倒だし…税金とか訳解んねーし…人雇うの怖いし」
クッションに抱きついてバタバタする日和。
「子供か…」
律壱がため息をつく。
「オレも音楽やろうかな〜…タンバリンとかマラカスとか」
「タンバリンとマラカスに申し訳ないよ」
再び、ため息をつく律壱。
「あっ…」
「…?」
「これ、例の原稿…」
グランドピアノの上に乗っていた封筒を日和に渡す律壱。
「……」
日和は少し戸惑いながら、封筒から原稿を出す。
「…これか…『君の詩が色褪せても』」
やっと…
見ることが出来たな…ー