二十歳計画

こちらの視線に気づいたのか、聖二君は振り向いた。瞬間、少し目を細めて、

「鈴木さん?」


私はおもいっきり首を縦に振った。

「鈴木さん久しぶり。一瞬人違いかと思ったよ」

聖二君は学生の頃から変わらない笑顔でこっちに歩いてきた。

「そうかなー…」

「なんか大人っぽくなったね」


嬉しかった。卒業してから初めて会ったにも関わらず、すぐに私だと気づいてくれた。

「大学のほうはどう?」

聖二君が聞く。

「楽しいよ!!裕子も相変わらずだし。聖二君は?」

「僕も楽しいよ。けど研究が忙しくて。でも、最近休日が久しぶりに出来たんだ」

それを聞いて私が、彼女さんとは一緒じゃないの?と聞いたら、

「いやー、実は別れちゃったんだ」

聖二君がいつもの笑顔でさらっと言うものだから、私はそうなんだー、としか言えなかった。

(なんか気まずいかも…)

そう思って口を開いたら、

「鈴木さん暇?」

「え?」

急に言われて戸惑いながらも頷いた。

「なら、今から映画観に行かない?ていうか、行こう!!」

(へっ!!)

現実に頭がついていかないまま、私は聖二君に映画館へ連れて行かれた。


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