幼なじみ
戦い

小さな喜び



「おはよう」
「おはよう」
朝、あいさつを交わす。
「はい」
「ん」
手を繋いでいつもの道を歩く。
「好き」
「俺もだよ」
気持ちを伝えられる。




今までしてたあたりまえのこと全部、
俺の今の幸せ。






「涼、今日あたしoff」
優衣は通院しながら学校と仕事の両立をしている。
しんどくない?無理するなよ?
そんな俺の言葉にも、笑顔でこう答える。
“忙しい方が忘れられていいの。あたしこんなに元気なんだって実感できる”
今の優衣にはこの忙しい生活が唯一の生き甲斐で、唯一の楽しみなのかもしれない。





「優衣、俺も今日off。遊ぼ」
ほんとはoffなんかじゃありません...。
でも優衣はきっと一人になったら考える。
一人になったら絶対なく。
今の優衣を一人にさせるのは俺が怖い。







「え、off?ほんとに?」
「うん。行きたいとこ決めといて」
「わかった...」
優衣は若干疑ってたけど俺の気持ちが伝わったのかうなずいてくれた。
後で酒井さんに連絡しなきゃ...
優衣の病気のことも言わなきゃだし...。





学校について、教室を見まわす。
この空間に優衣がいて俺がいて千夏がいる。
この教室で3人笑いあってる。
そんなどうでもいいこととか小さなことが今の俺の幸せ。
「優衣!やっぱ今日は俺が行先決める」
「ん。わかった」
ずっと作り笑いして無理してる優衣を笑わせてやりたい。






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