好きすぎた、たぶん。


「どうしたの?」


「あ、あの、ちょっと会えませんか?」


「・・・うん。いつ?」


「可威さんの空いてる時で大丈夫です。」


「そう。じゃあ・・・今日の夜でいい?バイト?」


「いえ、今日は学校もバイトも休みです。」



あ、そっか。



日曜・・・



「わかった。じゃあ仕事終わりで迎え行く。」


「わかりました。」


「はっきり何時頃ってまだわかんないから、また連絡する。夜にはなっちゃうと思う。」


「はい。」



電話を切って、またスタジオに戻った。



詩織ちゃんの声を聞いて、やっぱり会いたいと思った。



でも、やっぱり会わない方がいいことも、わかってる。



「会えませんか?」って言われて「うん」って答えたのは、違う。



・・・会いたくなったからじゃない。



さっき座っていた椅子にまた座って、ギターを抱えた。



潤は何も聞かず、ただギターを触ってメモを取って。



俺は自分が持ってるギターをただ眺めた。



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