眠る心
凪子が柊雨を死ぬ程に
好きだったことを知っていた。
  
柊雨に凪子が必要である事も。
  
柊雨と凪子

二人は、ずっと一緒に
いなくてはいけない存在だと
いう事を。

しかし、今の凪子に
必要なのは紫季先生なのだ。
  
その凪子から紫季を奪う事は
姉である繭子さえも
してはいけない。
  
頭が混乱して悩み続け
答えを出せないでいる繭子の
手を強く握る柊雨の紫季を
真っ直ぐに見つめる横顔を見た
繭子は

柊雨こそが、一番の苦しみ
悲しみの渦の中にいる事を知る

貴方が決めた事ならば
私は、従う・・・
  
繭子は下を向いたまま
泣き声で言う。

「シキ先生
 なっちゃんをお願いします」
 
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