眠る心
告白

君が好きだ

「その後、どうですか?
 何か思い出せましたか?」

太陽は雲に隠れ、雨が地面を
濡らす音が診察室に響く。
  
診察を受けている凪子は
何も思い出せないと告げた。

「シュウさんがお見舞いに
 来られた時はどうですか?
 
 何か頭に情景が
 浮かびませんでしたか?」

最近は、柊雨さんとはなかなか
会う機会がなく会う時はいつも
何のDVDを見たなど

他愛のない話をするだけで
昔の出来事に触れないように
私に接してくれ

頭痛も全く起こらず

その為

昔の記憶も戻っては来ない。
 
メモをとる手をとめて
凪子の方を見つめる紫季。
 
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