眠る心
私の名を、繭ちゃんが何度と
呼ぶ声だけがこだましていた。
 
ナースコールの音が響く。
 
「妹が、頭が痛いと苦しみ
 出して意識がありません

 お願いします
 早く来て下さい」

それから、数時間後。
  
病院の外、携帯電話で誰かと
話をしている繭子の表情は
とても暗く声にも元気がない。
 
通話の相手は
妹、凪子(なぎこ)の婚約者
の柊雨(しゅう)である。
 
凪子が彼の事
ロックバンド『ジニア(Zinnia)』
の事を全て忘れていると

柊雨にとっては
残酷な言葉を続けた。
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