キミの名を呼びたい ~Mirror~
「沙倉。ちょっといいか??」
廊下に並ぼうとしていた私は急に笠山先生に話しかけられた。
「はい…。」
「実は、今日新入生挨拶を
するはずだった生徒が
ケガで入院したらしいんだ。
そこで先生方で話あった結果、
突然なんだが、
沙倉に挨拶をやってもらいたい。
ムリそうなら断ってくれて
構わないが、どうだ??
やってみないか??」
臨時会議の内容はこれか。
とはいえどうしようかな。
この伝統ある学校の入学式で挨拶をするのはとても名誉なこと。
でも、こんなに急に挨拶なんてできるものなんだろうか…
今からってことは八割方アドリブ…
封書に入れる紙は見かけだけと言っても過言じゃないな。
「やっぱり難しいか??」
笠山先生が懇願するような、まるで今にも捨てられそうな子犬の目で私を見ていた。
さすがに言いすぎかな!?
でもその目に気づいていながら断るのは無理そうだった…
「どうにかやってみます。」
その目をみてとっさに
こう言ってしまった。
あと入学式まで30分弱…