ビル群に咲く
 私は再度、アラブ語翻訳サイトを……開こうとしたその瞬間!
 アリは光り輝き、足先から消え始めた。すごいすごい! 何これ特撮!?
 いや、違う。実体がなくなり始めている。影が薄くなってゆく。何が起こっている。
 どうしたって信じられない光景が目の前にはあり、その悠然と立ちはだかるをを私は傍観した。
 私はこの世の神秘を思いながら奇怪に消え行くアリをみつめた。アリはだんだん消えてゆく。その顔は……やはり自信に満ち溢れていた。私はイラっとした。
「サラバデス、アリチャン」
 そういや私もアリだった。亜里沙である。あっ、アラブの方のアリ消えた。
 さらばです、アリ。
 手元に残されたのはノートPC一台。
 画面上に、「何故私なのか?」の7文字が控えめに佇むのみであった。
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