ビル群に咲く
蓋然的マジョリティ
 ああ――思い返す。
 フセインを手にした私がまず最初にした事。それは破壊行為だった。
 つまるところ、私はフセインが製作したフセインをフセインの考える正義と目的に沿い……ややこしいのでフセインの方をサダムとする。このフセインは人間の方であって、ソフトのフセインは大量破壊兵器と呼ぶ。いや面倒なのでソフトと呼ぼう。迫力が違うもの。
 大量破壊兵器と呼ぶのとソフトと呼ぶのでは、もう雲泥の差である。いや、雲泥って言うかむしろ雲強化セラミック。雲と強化セラミック。最早元になったものまで違うのだ。そんな感じである。大体大量破壊兵器は大量であり破壊であり兵器である。最悪だ。地獄だ。救いようがない。フォローのしようがないのだ。しょうがないのだ。しようがないだけに。基本的にダジャレだ。
 それに比べソフトの方はどうだ。ソフトなのだ。柔らかいのだ。最高だ。天国だ。しかしソフトは軟弱者である。ソフト弱者である。勉強はできるがスポーツはてんでダメ。仲間も多く、ガキ大将的な存在であった大量破壊兵器とは逆に、内気で気弱なソフト。しかし、ひょんな事から二人は友達になる。やがて勉学の面でもお互いを高めあい、いずれ大企業のトップに二人はなり、ビジネスパートナーとなる事をこの時の彼らはまだ知らない。よかったねソフトと大量破壊兵器。めでたしめでたし……
 は、話が反れてしまったが、とにかくこのソフトを使ってみた。
 私は、破壊行為をしたのだ。
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop