花歌―ハナウタ
外で単車の音が響いている。耳をつんざくような爆音がする。



あたしは、布団を頭までかぶり、耳をふさいだ。



(真由美、早く帰ってこないかな…)



一人の時間は、こんなにも長い。



永遠に続くような気がした。



単車の音が、あたしのベランダの前で止まった。



このマンションの人だろうか。



うるさい…



しばらくすると、爆音は遠ざかっていった。



一気に静けさが戻る。



頭をからっぽにしたい。



もう何も考えたくはなかった。





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