花歌―ハナウタ
龍司は、気分屋で、わがままで、

平気で冷たいことを言ったりするけど、

その後は別人のように優しかったり…



どっちがほんとの龍司なのか戸惑ってしまうくらい。


でも、あたしが心を開き始めたころから、

龍司も少しずつ少しずつ、あたしに心を開いていってるのがわかった。




あたしには、よくわからない世界だったけれど、

龍司はもともと暴走族の頭をしてたみたいだった。



相当悪かったみたい。



警察も、

『おう、龍司!最近おとなしくしてるか?』って声かけてくる。



外では、

『龍司さん!』

なんて、言われて恐れられてる龍司も、

二人きりになると、甘えたりする。



誰の前でも、そんな姿は絶対見せない龍司。



そんなギャップと、

あたしにしか見せない姿が可愛くて、

ほんといつのまにか、
あたしは龍司にハマってた。



龍司はケンカッぱやくて、嫉妬深くて…

少しでもあたしのことを見てる男がいようものなら、
『殺すぞ!』

なんて、平気で言う龍司。


『お前も、そんな男意識してるようなカッコしてんじゃねーよ!』



あたしにもふてくされたように怒る。



こんな男、絶対ヤだった。


こんなんじゃない。

お休みの日は、遊園地行ったり、ラブラブして過ごしたいのに…



龍司が連れてくとこって行ったら、パチンコ屋とか、なんか溜り場みたいなとことか、集会とか、

そんなんばっか。



あたしの理想とは、
かけ離れてるハズなのに、

好きになると不思議なもので、


そんな龍司の行動さえも守られてるような感じで嬉しくなってしまう。



そのとき、あたしはまだ17歳で、龍司は18歳。



あたしはまだまだ子供で、
愛だとか恋だとかを勘違いしてたのかもしれない。



とにかく龍司と見る世界はスリルだらけで、
刺激が強かった。







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