甘い声で囁いて



「よかったな」

二人きりにしようと思ったあたしと加宮さんは二人で先に家に帰ることにした。


「本当に・・」


「ったくお前まで何泣いてんだよ」



「だ、だってぇ~~~~」




あまりにも感動しちゃったんだもん。


「しょうがねぇな」





加宮さんはそう言うとあたしの肩を優しく抱き寄せてくれた。


その胸が優しくて

温かくて。

自然と涙がでてくる。




「うわ、お前泣きやんでねーじゃん」

「加宮さんのせいです!!」

「ったく人のせいにすんなよ」

「だっんんっ!!」


いいわけをたくさん考えていたのに

キス一つで何も考えられなくなる。


さいしょは軽く。

次第に何度も角度を変えて、深い口づけに変わる。


好き、じゃないはずなのに。


ちっともイヤじゃない。


あたし、何でこんなにキスが気持ちいいなんて思っちゃうんだろう?


「ほら、泣きやんだ」


長いキスが終わり、加宮さんがいたずらっぽい笑顔を見せて言う。

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