甘い声で囁いて

オタク少女の過去



家に帰って靴を脱ぐ。


「ただいま」


言っても返事がないって事は加宮さんは出かけたんだ。


ほっと小さく安心してからリビングに入る。


なんとなくテレビを付けると再放送のアニメがやっていた。



画面の中では男の子達が力を合わせてサッカーをやっている。


確かこれ、5年くらい前のアニメだよね。


「あ、この声」


一際目立つ髪の色をしている男の子の声にあたしは聞き覚えがあった。


5年くらい前っていうとあたしが小学5年生くらいの時。


何してたっけ?


そんな事を想いながらいつの間にかアニメに夢中になってテレビ画面に
ちゃっかり座って観賞してる。


今日の回は日本と海外の国(多分これはイタリアかな?)の対戦の日をやってる。


試合当日の朝。

ヨーロッパの国には絶対に勝てないと散々新聞やニュースで叩かれてた。

他のみんなも今日の試合はって諦めていたけれども


「そんなの誰が決めたんだ!」

ってものすごい気迫でその金髪の男の子が言ってる。


「俺達が勝って証明すればいいんだ!!日本だって十分世界に通用する事を!」



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