しゃぼん玉

背中

今にも降り出しそうな空の日、お父さんが会いに来た。

出かける準備をして行くと
(父)「今日は大事な話が会って来た」

どうしてだろう…“家に帰れる”期待してしまった…
お父さんは その頃の私には難しい話をし始めた。

「お父さんと お母さん離婚することになってな、親権は お母さんになった。
 だから、もう会えない。ごめんな」

あまり意味は分からなかったけど、
“会えない”それは ちゃんと分かった。

泣かない私の代わりに空からは雨が…

(父)「元気でな」

私は すぐそこにあった傘を差し出した。
でも お父さんは傘を受け取らず
たくさん雨が降る中、1度も振り返らず行ってしまった。

見えなくなるまで…
見えなくなったあとも しばらく動けなかった。


でも、泣いたりワガママは言わなかった。
お父さんは いい子の私が大スキだから。

(私)「お父さん寒くないかなぁ。  
   傘渡したら、また返しに来るときに会えるって思ったのになぁ」

みっくんも 愛歌音ちゃんも たくさん泣いていた。


私が泣いたのは一人になった部屋の中だった。
みんなは外で遊んだり、テレビを見ていたから
自分の部屋が一人で泣ける場所だった。

泣こうと思ったわけじゃない。
勝手に流れた。涙のわけは分からない…

そして幼いながらに この時決めたんだ…
“もう泣かない”と…
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