エングラム



「お前はオレを好きにならないのか?ん?」

これは遊ばれてるパターンだとわかった。…が分かってもどうにもならない。

じゃあ、今回は──

「し、シイ」

「なんだ?」

軽く裏返った声にシイが答える。


「シイ大好きっ」


笑顔で答えたら、シイが顔を真っ赤にした。

「うわ可愛いー」

形勢逆転。
日頃私を侮るからです。

もんのすごっっい達成感。

「うっせぇ」

シイが顔を手で覆った。

「私の勝ちです」

そう言って私がふへっと笑う間に、シイはバケツから花を抜いてって腕の中で花束を作ってく。


──ていうかこんな会話をする日がくるなんて夢にも思わなかったな。

「シイって私の彼氏ってのにあたるんですよね?」

「彼氏だなんて言ってないぞ」

「え!?」

「冗談だよ、彼女」

してやられた。
今までのやりとりは何、と冷や汗をかきそうになってしまった。

シイは腕の中に鮮やかな花たちを抱いてカウンターに戻る。
ラッピングするのだろう。

「なぁハニー」

「……なんですかダーリン」

とりあえず答えてみた。



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