エングラム



それから競技は行われ、私も女子集団に混じって応援した。

面倒臭いと言っていた“群れる”ことも意外と──楽しかった。

クラスメイトが良い結果を出した時はみんな抱き着いて喜んだ。

背中に手が触れた時、汚いって言われる!と一瞬ビクッとしたがそんなこともなく。

良かったねと笑った。


「赤組いけぇえっ!!」

キャーキャー言いながら、楽しんだ。



女子と会話をしていた私の肩が、突然叩かれた。

「──オレ障害物行ってくるわ」

短い髪の毛をかきあげて、焼けた額を見せながら男子学級委員長は言った。

「あ、委員長行ってらっしゃい」

私は軽く手を振って彼を見てから再び会話に戻る。

すると、彼女が言った。

「シランさんってあいつと付き合ってんの?」

出た。みんなが大好き“付き合ってるの?”のフレーズ。

「ううん。まさか」

見えなくなった、学校の体操服を纏う白い背中を見る。

「だってシランさん!あいつとはよく喋るじゃん!」

彼女はニヤニヤ笑いながら私に言う。



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