洒落にならない怖い話
音から察するに、携帯は彼女の突っ伏した腕の下にある事がわかった。


携帯ストラップも腕の下から覗いている。


10秒鳴らして、周囲の迷惑を考えてか友人は鳴らすのを止めた。


「あ〜駄目だわ。こいつ、寝起き悪いんだよね」


酒も入ってるし、無理に起こすのも可哀相だからと、しばらく待つつもりで俺たちは腰を降ろしたその時、友人の携帯にメール着信が入り、開いた奴の顔からいきなり血の気が引いた。


「うわ、なんだよ…これ」


なんだなんだと俺たちの間でそいつの携帯がまわされた。


差出人は眠りこけてる彼女。


本文は『眠い、寝かせてよ』


彼女の携帯は、ずっと彼女の腕の下だ。


ストラップも見えている。


すうっと首の辺りが寒くなった気がしたものの、飲みに来ていた他の仲間は「よく出来た悪戯だろ。すげえな」と感心したので、俺たちもその答えに納得して、その夜はお開きになった。


それからしばらくして、俺は仰天する事となる。


彼女が亡くなったのだ。
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