洒落にならない怖い話
「何で、あたしじゃないの!?」


彼女は、彼女ではない別の誰かになっていました。


いえ、別の誰かの顔になっていた、というのが正しいとSは言いました。


でも、見覚えはあるが誰だかはわからない、と。


Sは彼女?の腕を振り解くと、頬に平手打ちをしたそうです。


幸い彼女は元に戻り、自分が何をしたか分からなかったそうです。


記憶がスッポリ抜けている、と…


そして正月に、俺の元に届いた3通のメールで全てが繋がりました。


メールの書き出しはみんな同じで、あけましておめでとう、ですが…。


一通目。


クリスマスにSさんに会う夢を見た。


顔は見えなかったけど、Sさんの声だった。


二通目。


クリスマスにSさんに抱きつく夢を見た。


Sさんの匂いがしたよ、懐かしかった。


三通目。


クリスマスにSさんの首を絞める夢を見た。


Sさんが怖がる顔が見えた。


私サドかなぁ。


…つまり、3人同時に…。


見覚えのある顔だったのは、3人が一緒にだったからなのでしょうか。


そして誰、と断定できなかったのも…。


俺はSにこの話をする事ができませんでした。
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