ク ロ
じつのところ、
クロをどうしたいのか、自分でもよくわからないのだ。
猫嫌いに成らざるを得ない環境で育ち、二十数年かけて構築された猫への実体のない先入観や、思い込みによる嫌悪感。
クロの出現によって、
これら偏見がいくらか払拭されたのは事実だ。

だが、クロの飼い主になる覚悟が、
ヤツの生涯を引き受ける覚悟が、私にあるだろうか…

< 77 / 90 >

この作品をシェア

pagetop