千夜を越えて
月明かりに照らされた男達。
よく見ると、彼らの纏った浅葱色の羽織りには、無数の赤い斑点が付いている。
手には刀を持っていて、初めてその赤が血だということに気付いた。
彼らの足元は血の海となっている。
一人の男が、まだ息のある"それ"にとどめを刺した。
「--っ!」
あたしは、声にならない叫びを上げた。
(何だ?!あいつらは鬼か?!
ここにいたら殺されるっ!)
そう思い、その場から立ち去ろうと後ずさる。