ゆゆし
「こんにちは夏井先生、先生もお見舞い?」

そう言いながら花を渡す。
わあ凄い、これいつも都ちゃんが?と言いながら夏井は受けとる。

「そうね、たまに有坂先生の顔見に来ないと心配で・・・ホラ、先生結婚してないし」

ふーん、と都は返事をした。
夏井が有坂のことを好きなのは校内でも有名な話だ。
夏井は美人だ。せいぜい30歳になるかならないかというところで、どう考えても有坂より15歳は若い。どうしてこんなキレイな人が、中身はともかくあんな見た目の冴えないオッサンなんかが良いんだろう、と考えた。
でもどちらに対しても余計なお世話だと思ったのですぐに止めた。


「今日はこの前借りてった本を返そうと思ってきたんですけど・・・何処行ったんだろ」

「ああそれなら」と夏井は言った。

「あの子のところじゃないかしら」

「あの子?」

都が聞き返す。

「あ、ええと。つい2日前に知り合いの子がこの病院に入院したらしくて、最近その子のところに言ってばかりなの」
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