幼なじみは年の差7歳【完全版】
…良明くんの部屋はとても広い。
タンスに本棚、机にベッド…それらがあってもまだまだ余裕がある。
一旦部屋から出た良明くんがどこからかテーブルを持ってくる。
それを中央に置いてもまだ、やっぱり余裕がある。
「…ねぇ、良明の家ってすっごいお金持ち?」
私が感じていたことを麻実ちゃんはあっさりと口にする。
だけど良明くんは首を傾げ、「よくわかんねぇ」と呟いた。
「とりあえず遊園地の予定立てようぜ」
良明くんはベッドに座り、私と麻実ちゃんはテーブルの近くに座って良明くんを少し見上げる体制となった。
「お、いいねぇ上目遣い。
と、胸元チラリ」
…ニヤリと笑う良明くんから、私たちは少し離れて座ることにした。
少し残念そうな顔をしながらも、良明くんは何事も無かったかのように話し出す。
「とりあえず土曜に出かけようか。
で、朝8時くらいに待ち合わせ。
遊園地までの移動は…電車の方が楽かな」
口を挟む時間なんて無く予定は決定していく。
良明くんのお母さんが持ってきてくれたケーキを半分食べた頃に話は終わり、その後は雑談をしながら宿題を再開させた。
…けれど、麻実ちゃんが携帯を開いて呟いた。
「…美和、私そろそろ帰らなきゃ」
「え、じゃあ私も…」
と立ち上がったところで麻実ちゃんは指差した。
「良明の宿題、見てあげて?」
…あまり進んでいない良明くんの宿題。
だけど、麻実ちゃんが帰っちゃったら私…良明くんと二人きりになっちゃうよ。
「美和に何かしたら殺す。
美和はもう冬馬さんのなんだからね?」
「…お前な、俺は人の女を取ったりしねーよ」
なんて話しながら良明くんは立ち上がり、麻実ちゃんの手を引く。
「こいつ送ってくるから少し待ってて」
「あ…はい…」
なんだかタイミングの逃してしまい、「私も帰る」とは言えなかった。
バタンと閉まるドアと、だんだん離れていく二人の声。
一人きりになった部屋はエアコンが動く音だけが聞こえる。