幼なじみは年の差7歳【完全版】
――……。
休み時間。
麻実ちゃんの机に行ってビニール袋を手渡した。
中身は、昨日冬馬兄ちゃんから貰ったメイク落とし。
「貰い物なんだけど…良かったら使って?」
最近会話していなかった麻実ちゃん。
メイク落としを見た後、不機嫌そうに呟いた。
「これは謝罪?それともご機嫌取り?」
「うっ…」
麻実ちゃんの忠告を聞かないで良明くんと付き合った私。
メイク落としをあげたのは…多分両方の意味だと思う。
「ごめん…麻実ちゃんの言葉、ちゃんと聞いて受け止めてたらこんなことにならなかったよね…」
謝ることしか出来ない。
麻実ちゃんはずっと私の心配してくれてるのに…私はそれを見もしないで道を選んだ。
だから…ごめんしか言えない。
「…ま、いいけどね。
それで、良明とは別れたの?」
「…うん。私はそのつもりで話した…と思う」
“別れましょう”とか直接は言ってないけど…きっと別れたと言える。
それを聞いた麻実ちゃんは少しだけ安心したように笑みをこぼした。
「良明に何かされそうになったら私に言いなよ?
私、絶対美和の力になるから」
そんな風に言う姿は、いつもの麻実ちゃん。
前と変わらずに私を見てくれている。
「…ありがとね」
傷ついていた心が、麻実ちゃんと話していることで癒されていく。そんな気がした。