幼なじみは年の差7歳【完全版】


「それにしても」


と、麻実ちゃんが呆れたようにビニール袋を見た。


「タダで貰えるのは嬉しいけど、冬馬さんってば他にあげる人居ないのかねぇ」


そんな風に言う麻実ちゃんの言葉で思い出す。


「…私、冬馬兄ちゃんからだって言ったっけ?」

「え?」


――少しの沈黙。


私、冬馬兄ちゃんから貰った物だなんて言ってなかったよね…?
どうして麻実ちゃん、知ってるんだろう?


「…美和が試供品をこんなに持ってるわけないでしょ?
だから、冬馬さんから貰ったのかなって。
他にくれそうな人も居ないしさ」

「あ、なるほど」


そう言われたらそうかも。
麻実ちゃんって頭の回転が速い。


「ま、ありがたく貰っとく」


微笑むように笑った麻実ちゃんに私も笑顔を返した。
< 56 / 278 >

この作品をシェア

pagetop