依存~愛しいキミの手~
「あすか!聞いてよ!」


あーきたきた…。


毎朝の憂鬱な儀式…。


ゆきを筆頭に、怒り顔の友達数人が私を取り囲む。


「どうしたの?」


面倒くさい気持ちを隠しながら、とりあえずいつものように聞いた。


「知美がちょームカつくの!」


ゆきが壁に蹴りを入れて怒りを表す。


「本当にムカつく!」


「佐藤くんに朝差し入れしてたんだよ!?」


「こび売りすぎだし!」


次々とみんなが文句を言い出し止まることがない。


佐藤の何がいいんだか…。


ただ、サッカー部のエースでクールで少し周りより顔がいいだけじゃん。


悪く言えば無愛想なつまんないヤツだよ。


そんなことは口が裂けても言えない。


「ちょっとかわいいからってさ…。あんな地味な女」


唇を噛みながら悔しそうに言うゆき。


ちょっとか?私はかなりかわいいって言うか綺麗な子だと思うけど。


とてもタメとは思えない独特の大人っぽい雰囲気に包まれ、地味ではなく真面目な見た目なだけ。


顔が小さくてスタイルよくて、芸能人にならないのが不思議なくらい顔が整った子。中1の時は、校内1の人気者だった先輩に卒業式の舞台の上から告られたほどだ。


「もしかしたら佐藤に頼まれただけかもよ?みんなも差し入れしたら喜ぶんじゃない?」


どう考えてもみんなが知美に嫉妬してるだけ。


真面目に答えるのも面倒くさくて、適当に返事を返した。
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