依存~愛しいキミの手~
おばちゃんが紅茶を淹れてくれたので、ソファーに座り飲んでいると、頭をかいてあくびをしながら階段を下りてくる圭介が見えた。


「おまっ!?こっちにいたのかよ!」


階段の途中で私に気づき驚く圭介。


「私が誘ったのよ」


キッチンから、ケーキが乗ったトレーを手に持ちおばちゃんが歩いてきた。


「ご飯用意してあるわよ。優くんと美香ちゃんはまだ?」


「まだ寝てる」


そう言って圭介はキッチンに入って行った。レンジのボタンを押す音が聞こえる。


「これね、この前料理教室で習ってきたの」


そう言っておばちゃんがテーブルにケーキを置く。


「え!?手作り!?お店に売ってるのみたい!すごい!」


本当に素人が作ったとは思えない、美味しそうなケーキだった。


「あすかー、あんま誉めんなよ。調子乗って大量に作るから」


圭介がキッチンでタバコを吸いながら言った。


名前を呼ばれたことにドキっとし、圭介の顔がまともに見れない。


「タバコ吸うならこっち来いよ。この家、換気扇の下と俺の部屋以外禁煙だから」


…ケーキ食べる前に吸おうかな。
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