依存~愛しいキミの手~
「いえ、学校は違うんですけど…」


私はスープのカップを持ち上げて言った。


「…もしかして彼女?」


!?


飲んでいたスープが変な所に入りむせた。


「ち、違っ…ごほっごほっ」


私は思いっきり手を横に振った。


「大丈夫?」


口に手を当て咳をしながら頷いた。


落ち着いてから、改めて否定する。


「そっか。あの子が女の子1人家に連れて来るってしばらくなかったから、勘違いしちゃったわ」


圭介のお母さんは可愛らしく笑った。


しばらく…って、春子さんのこと言ってるのかな…。


胸がチクッとする自分に気づかないふりをして、ハンバーグを口に頬張った。


しばらく話ながら食事をしていると、リビングの扉が開く音が聞こえた。


振り返ると、キチッとスーツを着こなし、眼鏡をかけた背の高い男の人が入ってきた。


「あなた今日は早いのね。ご飯は?」


「いや、食べてきた。学会の資料作成しなきゃならないから仕事部屋に行く…」


チラッと視線を私に動かし、目が合った。


「は、初めましてあすかです。お邪魔してます」


そう挨拶をすると


「あぁ」


とだけ言い螺旋状の階段を上って行った。


何か怖い…というか無愛想…?


「ごめんね、あの人いつもあんな感じなの。だから圭介とも折り合いわるくて…」


圭介のお母さんが食器を片付け始めたので、私も手伝った。
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