依存~愛しいキミの手~
「すごい…」


私が呟いた。


「え?」


「あのね━」


私は夏の初めに知美が話してくれたことを圭介に話した。


「だから、知美が今は圭介の道に春子さんが見えなくなるまで1歩ずつ足跡を増やしていって、いつか同じ道歩けばいいんじゃない?って言ってくれたの。
感動しない!?知美の言葉のおかげで私頑張ってこれたんだ。頑張ってきたから、こうなれたんだよね」


「すげーな…。ともさん俺より下とは思えない(笑)」


圭介がくしゃっと笑った。


2人同じくらいから好きだったのかぁ。私1人ドキドキしてたわけじゃなかったんだ…。


何か、未完成のパズルのピースが1つ埋まったような気分だった。


「そういやお前さ!!」


圭介がソファーに片足を上げて、私の方に体ごと向いた。


「店で俺に告ったことまじで覚えてねぇの!?」


「あ゛…」


「覚えてたのかよ…」


「いや、本当に記憶はないんだ!ただ、知美が次の日教えてくれて…それであの話されて…」


「俺がどんだけ悩んだと思ってんだよ(笑)」


圭介が私の頬を軽くつねって笑った。


「悩んだの?絶対私の方が悩んでたって!!突然あんなキスされてさ!その後普通に何事もなかったかのようにされて…」


私が頬を膨らまして言うと、その頬を圭介が両手で挟みへこました。


「ごめんな」


チュッと軽くキスをし、無邪気に笑う圭介がかわいく思える自分が悔しかった。
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