依存~愛しいキミの手~
学校を抜けていつもの川沿いに行った。


そこに行くまでお互い何も話さず、ただ手をつないだまま歩いた。


「指輪…」


知美が私の左手を見て呟く。


「…大丈夫?」


察したのか、何も理由を聞かずただ、心配だけをしてくれた。


私は目に涙をためながら頷いた。


「ごめんね、心配かけて。おととい帰ってきたの。電話したんだけど、番号変わってて…」


知美はタバコを吸いながら川を見て話した。


「新聞でりょうのこと知って、何も考えずに飛び出して…。りょうが何で殺されたのか知りたくて」


知美が膝を抱えた。


「りょうね、前に手出した女がヤクザの愛人だったみたい…。それが今になってトラブルになったみたいで…」


大きな目から、大きな涙の粒がポロポロとこぼれ落ちる。


「りょうの死を受け入れられなくて、過去にさかのぼって行ったんだ…」


涙を流しながらも、知美は微笑んでいた。


「りょうと一緒に旅行した場所に1つずつ戻っていったの。北海道、韓国、軽井沢、オーストラリア、シンガポール、グアム、バリ、群馬、沖縄って順に。
…おかげで今まで貯まってたお金すっからかん(笑)」


目を押さえていたハンカチが顔から離れ、知美は私を優しく見つめる。
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