依存~愛しいキミの手~
知美は何も言わず最後まで聞いてくれた。


「私が弱すぎたんだ…。知美の言葉すっかり忘れてた。ゆっくり圭介と歩く道、春子さん以上に長くしていけば良かったのに…」


鼻をすすりながら言葉を絞り出す。


知美は優しく笑った。


「私もあすかもそういう運命だったんだよね、好きな人とは一緒になれない道歩いてたんだね…」


そういう運命…。


中途半端に慰められるよりも、気持ちが楽だった。


私よりもずっと辛い気持ち抱えているはずなのに、優しく笑ってくれる知美がすごく強いと感じる。


「知美…」


私が抱きついて泣くと、知美も泣き出した。


周りの目なんて気にせず2人で大泣きした。


落ち着いた頃には辺りがオレンジ色に染まり始めていた。


「そういえば、知美がいなくなった後に修ちゃんに会ったよ」


「修ちゃん…?あ、修平くん?」


私が頷くと、知美は眉を下げた。


「修平くんから聞いた…?」


「何を…?」


私の目を見つめた後、知美はタバコに火をつけた。


「りょうが修平くんに預けた物」


あ…そういえば言ってた。

「それは、自分の口から言っていいことか分からないからって言ってたよ」
< 311 / 441 >

この作品をシェア

pagetop