依存~愛しいキミの手~
「ははっ、修平くんらしい(笑)」


そう煙りを吐き出しながら笑う知美。


「私ね、今年の誕生日にりょうと入籍する予定だったの」


え…?


火をつけようとくわえたタバコが、口から落ちた。


今…何て…?


目を見開き固まる私。


「多分、願掛けだったんだろうって修平くんは言ってたんだけど、りょうが修平くんに預けたのって婚姻届だったの」


婚姻…届…


「え、えぇぇぇえ!?」


声を上げて驚く私を見て、クスクスと笑う知美。


「な!?そ、そんなの初めて聞いた!!」


「うん、ちょうど受験シーズンで浮かれた話だから誰にも言ってなかったんだ…。婚約したのは、去年の夏だったの。うちの親にも許可はもらってた。…進学悩んでた理由の1つもそれだったの。春に、正式に結納交わしてからか、入籍した後にサプライズでみんなに報告しようか、とかりょうがウキウキしながら考えてたんだよ(笑)」



そ…そんな…。


婚約してたなんて…。


「夢で終わっちゃったけどね…」


そう口元を緩めながら、知美は目から涙をこぼした。
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