依存~愛しいキミの手~
「…大丈夫だよ」


知美が心配してるのは分かってる。


大丈夫だから。こんな自分でも、どうにか生きてけてるからさ…。


りょうちゃん、私昔みたいに本気で人を好きになることできるかな?


こんな自分じゃ無理だって分かってるけど、もう少しダメなままでいても許されるかな?


いつか誰かが救い出してくれるの待ってる弱い自分じゃ、本気の恋なんてできないのかな…?


手を合わせ、りょうちゃんのお墓に問いかけていた時、涼しい風が吹いた。


頬を優しくなでるような風だった…。


目を開けると、知美も手を合わせていた。


お墓には、知美が持ってきていたかすみ草が飾られ、風に揺られている。


「いつもかすみ草だね」


汗が浮かぶ知美の横顔に聞く。


「小さな頃ね、施設の近くの花屋見てた時に、りょうが知美はかすみ草みたいだって言ったの」


かすみ草…。


お墓に飾られるかすみ草に目を移す。


「確かに(笑)」


私が笑いながら言うと、知美は優しく笑った。


「その時、私はりょうはひまわりみたいって言ったんだ」


「ひまわり!確かに(笑)」


りょうちゃんの笑顔は周りを明るくする力があった。りょうちゃんの存在に、みんなが惹かれるような人だった。


ひまわりって本当にその通りだと思った。


「だからね、お墓にはかすみ草を飾って、家にはひまわり飾ることにしてるの」


「いいね!!絶対りょうちゃん喜んでるよ!!」


そう私が言うと、知美は嬉しそうな笑顔を返してくれた。
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