依存~愛しいキミの手~
高校の卒業式の日がやってきた。


体育館の椅子に座って目をつむり、この3年間を振り返る。


入学式直後のりょうちゃんの死…知美の失踪…圭介との別れ…。


男に依存して、ろくでもないヤツだと分かって付き合い続けた。好きだと錯覚していた…。


圭介のことを忘れて楽になりたくて仕方がなかった…。


自分の弱さで家族を泣かせた…。


ママのおかげでやっと本音に向き合うことができた…。


私は今でも圭介が大好き。


入学した頃と気持ちは何も変わっていない。


ううん、会えない分好きは増している。


会いたい気持ちがたくさん積み重なって、愛してるって気持ちが大きくなった。


圭介に会いたい。


会いたい。


会いたい…愛してる。


圭介、伝えたいことがたくさんあるんだけど、1番伝えたいのは、ありがとう。


私に本気の恋を教えてくれた。


手の温もりをくれた。


優しい笑顔にいつも励まされた。


幸せをたくさんくれた。


別れてから思い出すのは、圭介と過ごした幸せな時間だった。


でも今思い出すのは、圭介本人なんだ。


今の私を支えてくれてるのは、側にいなくても圭介の存在。


病室で言えなかったのは、最後になるのが怖かったから。


今は伝えることで、新しい道が始まる気がする。


圭介、ありがとう。


卒業式が終わり、みんなと話し写真を撮った後、私は中学の卒業式と同じように知美と手をつなぎ校門を出た。


そこに見えたのは優しく笑う圭介とりょうちゃんで、圭介に駆け寄るとふわっと消えて行ってしまった…。
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