依存~愛しいキミの手~
優の運転で新宿に着いた。


緊張を抑えるためにタバコに火をつけたが、手が震えている。


人で賑わう西口。


私は、その人ゴミの中から小さく見える懐かしい姿を見つけた…。


吸っていたタバコを落とし、優が拾いながら何か言っていたのさえ耳に入らなかった。


圭…介…


胸がしめつけられる。


まばたきも呼吸も忘れて固まったまま、こっちに気づいていない圭介の姿を見つめ続けていた。


固まる私の視線を優がたどり、圭介を見つけた。


「圭介!!」


優が車を降り駆けつける。

美香も優の後を追った。


優と美香に見せた笑顔を見て、一気に涙が溢れ出し顔を両手で覆い助手席に座ったまま泣き崩れた。


会いたかった…。


ずっと会いたかった…。


会わせる顔がないとか、資格がないとか、そんなの会った時期待通りにいかなかった場合の不安を言い訳してただけ。


本当はすごく会いたくて仕方なかったんだ。


私に向けられなくても、笑ってる顔さえ見られれば良かったんだ…。


ずっと、ずっとずっと圭介の笑顔が見たかった。


こんなにたくさんの人がいる中で、すぐに見つけられるくらい、会いたかったんだ…。


ガチャッ


そう音がして、外のざわめきがゆっくり大きな音となって私の耳に伝わる。


冷たい風が泣き崩れる私に触れた。
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