依存~愛しいキミの手~
そう思うけど、口にすることはできなかった。


ソファーに腰かけて、圭介がタバコに火をつけた。


カチャンと片手で開けてそのまま火がつく…。


昔と変わらないままの、私の好きな仕草。


今、本当に隣にいるの?


これは夢じゃないの?


私は腫れて重くなった目を、隣に座る圭介の顔に向けた。


「あすか…本当にごめんな。ガキすぎて支えきれなかったこと毎日後悔してた…」


圭介が私の肩を抱きながら言う。


私は涙を手の平で拭いながら、頭を横に振るだけしかできなかった。


そんな私の頭を優しくなでてくれた。


ずっと、ずっと、優しくなでてくれていた。


気がついたら、カーテンの隙間から朝陽が差し込んでいる。


私も圭介もあのまま寝息をたてていた。


すっかり涙もひっこんで、私の肩に手をぶら下げながら寝ている圭介を見て、幸せが心いっぱいに広がる。


圭介に会えた…やっと会えた。


そんな実感が今さら出てきて、口元を緩めながら圭介の顔を見つめた。


長いまつげ。


口角の少し上がった口元。

筋が綺麗に通る高い鼻。


きめ細かくて綺麗な肌。


血管が浮き出てる腕。


細くて長い大きな手。


圭介がいる。


目の前に、本当に圭介がいるんだ…。
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