依存~愛しいキミの手~
「圭介くん、やーらしっ」


優がにやにやしながら、からかう口調で言う。


うわっ恥ずかしい!


思わず丸まっていた背筋を伸ばし、前を向いた。


「うっせーよ!お前らはお前らでいちゃついてろよ(笑)」


笑いながら、私の肩にかかる手でシッシッと払う仕草をする圭介。


「でも、珍しいよね。圭介が気に入ってるなんて」


気に入ってる。


その言葉にドキっとした。

「だってこいつかわいいんだもん」


!?


か、かわいい!?


今のは聞き間違いじゃないよね!?


美香の言葉を否定しない圭介に、胸が高鳴る。


それって…。


高まる期待を抑えられず、圭介の顔を見つめた。


圭介が私の顔を見て笑いながら頭を優しく撫で、美香に視線を移す。


「昔飼ってた犬に似てんだよ。仕草とか反応とか、いちいちかわいいやつだったんだよな」


い…ぬ…


屈託ない笑顔で話す圭介を見つめていた顔が、歪んで行くのが自分でも分かった。


イヌ…いぬ…犬…


伸ばしていた背筋は丸くなる。


そりゃそうだ。私何を期待してたんだろ…。そんなうまく事が運ぶわけがない…。


…でも、犬はひどくね!?


がっくりと肩を落とした理由には、この時私はまだ気づいていなかった。


いや、薄々気づいていたけれど、認められなかった。
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