向こう側の自分
中学生
朝を迎えました。あたしは生きています。
あの悪夢のような日々から脱出する事だけを考えていた二年前。
あたしは中学三年生になりました。
何故あたしがあのような惨劇に挑まなければならなかったのか。
今となっては不思議で不思議で仕方が無いのです。
朝になれば学校へ行き、
昼になれば友達に囲まれ、
夜になればぐっすり眠り、
朝になれば学校へ行き。
その繰り返しが、あたしは凄く欲しかった。
刺激の有る人生なんて要らない。暇で平凡な人生が一番欲しい。
あたしは、ただ幸せでいたかっただけなのです。
他には何も要らなかった。ただ普通の中学一年生として過ごして行きたかった。
鳥の囀りが聞こえて来ました。時刻は早朝五時。もう直ぐ母も起きる事でしょう。
幼かったあたしはどうやってあの惨劇から脱け出したのかも覚えていません。
でもはっきりと分かるのは、あたしの所為で沢山の人が傷付いたと言う事です。
朋ちゃん、飯島くん、深山先生。
あたしは今学校に行っていません。『不登校』と言う形で欠席しています。
高校に行くかは悩んでいます。でも今は特に如何でもいい話だと思っています。
さて、暇で暇で仕方ないですね。
嗚呼、それではあなたにお話して差し上げます。
あたしの二年前の惨劇の物語を。