雪の種




「翼、ちょっと和室にいなさい」


重たいまぶたを開けたばかりのあたしにあの声がとんだ。



命令されるのは気にくわない、でも叔母さんの意見を取り入れられるのなら床に根をはって1ミリたりとも動かないわ。



「翼、あなた『学校に行きたい』って言ったわね?」



意思表示よ。


大きくゆっくり頷いた。


「本当に行きたいの?」


何よその質問、行きたいって言ってるじゃない、行かせてって言ってるじゃない、ねぇどうして?


どうして誰もわかってくれないの?


どうしてよ。


ねぇどうして?





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