∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
6th 〜セイジャク〜

ゴミ箱

 

 それからは、日を追うごとにどんどんと寒くなっていった。

日の光をしっかり浴びられる時間以外は、小屋から出るのもためらわれるほどだ。


僕は、今まで春も夏も秋も冬も、ご主人たちと一緒に家の中で過ごしていた。

だから夏の暑さも冬の寒さも、覚えてはいなかった。

こんなに気温の変化を感じて過ごすのは、初めてだった。


「冬ってこんなに寒かったんだなぁ……」


僕は小屋の中でまーるくなって“温かい空気”を逃がさないようにした。




 シロも今日はパンパンに膨らんだ服を着て、まーるくなって自転車で出掛けて行った。

「いってらっしゃい!」

僕はシロの背中を見送りながら、そっと呟いた。


 



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