傷恋(キズコイ)

告白!?失恋!?

先生の言葉の一つ一つが心を抉るようにして突き刺さる。

先生に何とも思われていない事実に加えて、私を傷つけようとして放たれる言葉に泣きたくなる。

きっと私の心が折れちゃうのを待ってるんだよね。

だからこそ、私は折れる訳にはいかない。

逃げ出さない私に先生は大きなため息をつき、無言で身体に手を這わせる。

先生の言葉はとても痛いのに、その手は思っていたより優しくて、私はそれだけで嬉しかった。



「先生が…好きです…」

私の身体に唇を押しあてていた先生の頭をそっと抱きしめて呟く。

先生が私を想っていなくても。
私は先生が好きなの。

ただそれだけを伝えたかった。

先生を大事に想ってる人間がここにいるって。



聞こえていなかったように私に触れていた先生が、突然私の身体を押しやった。

「興醒めです。出て行ってください」

ソファーを立った先生はやっぱり冷たい目で私を見下ろす。

「はい…」

身仕度を整えた私は振り向かずに部屋を後にした。
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