ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
或る心象風景 Ⅲ
 

多分私は――

棲むべき世界を間違えた。



無駄と退屈ばかりの世界ではなく、

必然的な0と1でのみ構成される

最小限の世界こそが私の故郷。



此の世の『仮想世界』こそ

私が還るべき世界。



――呈示されたのは

1つのプログラムだった。

至ってシンプルなプログラム。



だけどそれは意志をもって増殖し、

無限の可能性を秘めていた。




――ああ、私は……


還れるかもしれない。




……私は知っている。

男は私を利用する気だ。



……男は知っている。

私が男を利用することを。




だから私は――


男の手をとった。



此の世は虚構(ゲーム)と成し

そして現実は反転するだろう。



此の世は所詮――


虚構の仮想世界なのだ。


あるべき運命の姿に戻される。



それでも人は――


ERRORと呼ぶのだろうか?


< 141 / 974 >

この作品をシェア

pagetop